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『…何の用ですか』
渡「そんな怖い顔すんなよ〜」
そう。目の前にいたのは渡辺さん。
酔っているのかヘラヘラしていて不快。
しかも、なぜ向かいの席に座った？
渡「彼氏さんも、どーも」
深「近づかないでって言ったよね」
そう言った彼は、先ほどまでとは別人のように冷ややかな視線を向けている。
深「そこ座られると邪魔なんだけど」
渡「は？俺はただコイツに…」
深「あのさ、人の彼女をコイツ呼ばわりしないでくれる？」
渡「……ちっ」
彼の圧に負けたらしく、渡辺さんは机をバンッと叩いて去っていった。
すぐ物に当たるのも良くないところだ。
『ありがとうございます』
深「んーん。ほんとしつこいね、あの人。せっかくの楽しい気分が台無し」
私に向ける顔はやっぱり優しくて。
落ち着け、勘違いするな、
＿＿これはフリ。
ラ「か、かっこいい〜〜！！」
『村上くんっ、いつの間に』
え、もしかして聞かれてた？
それってかなりマズイのでは……
深「俺のかっこよさに今更気づいたの〜？」
いやいや、なに乗ってるんですか！！
このままじゃ勘違いされて、
ラ「安心してください。誰にも言いませんから」
村上くんは大きい目をキラッキラさせている。
ほら〜〜、違うって言い出しづらくなった、、
ラ「ずっとお似合いだと思ってたんです」
お似合い、か＿＿
内心ちょっとだけ嬉しかったり。
深「あーごめん村上。フリなんだわ」
ラ「ええ！？」
深「しつこい元カレを欺くため、ね、岩本さん」
このタイミング。
まるで、お似合いなんかじゃないと言われてるような、
"チクッ"
……あれ。
さっきとは違う、胸の痛み。
『はい…深澤さんに合わせてもらってて』
ラ「なんだー。残念」
深「ごめんごめん。さ、そろそろ旅行の話するよー」
何事もなかったかのように話を変えた深澤さん。
あーあ、自分が嫌になる。
勘違いされたらとか言いつつ、お似合いって言われて浮かれて、最終的には落ち込んで。
情緒不安定すぎませんか。
私と彼がお似合いなはずない。
そんな事、分かりきってるでしょ？
深「岩本さーん？」
『はい！それでいきましょう』
深「まだ何も言ってないよ(笑)」
ラ「どーしたんですか？ボーっとして」
『すみません…』
その後もほとんど集中できず、2人に任せてしまった。
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作者名：あんこ | 作成日時：2024年4月16日 23時
